直接人の役に立てる医師という職業が憧れだった。 これははっきりと両親の影響ですね。『大森診療所』は、1956年に私の父と母が開設した医院になります。両親の診療する姿を間近で見ていた私にとって、お医者さんは長らく憧れの存在でした。実際に進路を決めるまではいろいろと迷ったものですが、知りえたことが、直接人の役に立てるこの仕事に就けたことは、大変幸せなことだと思っています。
大学を卒業後は大学院に進み、医学専攻科整形外科に籍を置きました。整形外科を選択したことに関しては、もちろん両親の影響もあるかとは思いますが、それ以上に、外傷を診たいという思いが大きかったですね。私の中でお医者さんとは、けがを治す人、というイメージが強くあったのです。整形外科に進み、外傷学を学んだのは、私にとって至って自然なことだったように思います。
大学院を修了した私は、手術の現場に携わることを望み、いくつかの病院で経験を積んだのち、『大森診療所』へと帰ってまいりました(東急バス・馬込南台バス停で下車すぐ)。
現在、医院では私と母が診療を担当し、放射線科医である姉がサポートをおこなってくれています。当院で撮影したレントゲンは、専門家である姉にすべて目を通してもらっています。内科的な疾患に関して、私も専門というわけではありませんから、姉には数知れず助けてもらっています。母は年齢もずいぶん重ねてきましたから、今は自分のペースで診療を担当してもらっている形です。時たま、「敵わないな…」と思うこともあります。母は患者さんと自分の状態と比べて、「私なんてこんなよ」なんて言えちゃうものですから(笑)。人生経験に勝るものはないということかもしれませんね。
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