責任と誇りを持って地域医療に従事する 祖父が郷里で歯科医師をしていました。診療をしている姿をよく目にしていたことが、この世界に飛び込むきっかけの1つであったでしょう。それから、子供の頃からのかかりつけの先生に憧れを抱いていたこともきっかけの1つとなりました。それから時が経ち、科学や生物、人間の身体に興味を持つようになっていた私は、幼い頃の記憶に導かれるようにして、この道を志すようになっていったのです。大学を卒業後、慈恵医大外科学講座に入局し、胃や食道を中心とした上部消化管を専門として、手術や研究に携わってきました。様々な病院を廻り研鑽を積んでまいりましたが、その内の1つに、今は閉院となった市川第二病院がありました。
市川第二病院は羽田地域に密着した病院であり、そこで私は地域医療の何たるかを学ぶことになりました。この地域の方は非常に情に厚く、医師と患者さんの真剣な付き合いができたことは、私の大きな財産となっています。
そのままこの病院に骨を埋めようと考えていたのですが、思わぬことが起こりました。病院の経営方針が突如として変わり、急性期の患者さんを受け付けないということになってしまいました。患者さんの行き場がなくなってしまう。そう考えた私は、即座にこの場所でクリニックを開くことを決断しました。ここなら距離も近いですし、患者さんも通院に困ることはありませんから。急ぎに急いで、準備もままならないままの開院でしたから、当初はてんやわんやでした。あの時のことを振り返ると空恐ろしくなりますが(笑)、今では思いきってやって本当によかったと思っています。
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