この道に至るきっかけと、これまでの経緯をお聞かせください。 元来、メカ好きなもので、カメラを触ってる時の冷たい感触というか……そうでない方には理解出来にくい部分でしょうね(苦笑)。それもあって、私は歯科医師となる以前、車屋さんにメカニックとして勤務していたのです。ところが、改造した車を試運転した際、事故を起こし、大きな怪我を負ってしまいました。怪我自体は治ったものの、どこかに事故の恐怖を引きづりながら仕事を続けるのも好ましいものではなく、それが自分の人生を考え直す機会ともなりました。その時に頭に浮かんだのが、耳鼻科医師だった父の存在です。医療の世界で、かつ、何かモノに触れられる仕事。そう考えたとき、パッと思いついたのが歯科だったということになりますね。
24歳で大学に入り、卒業して歯科医師となったのは30歳のこと。それまで歯科に縁はまったくなかったのですが、手先の細かさを要求されることは大好きでしたし、楽しくてのめり込むだろうという予感は、入ったときから持っていたような気がしています。
卒業後は大学病院にフルタイムで勤務し、1998年に歯科・歯科口腔外科の『とのつか歯科』を開院、東急池上線「洗足池駅」より徒歩3分の現在の場所に移転したのが今から4年前のこと(2010年)になります。当院では、「そもそも、どこで噛んでいいかわからない」といった顎関節の問題や、歯周病等が組み合わさった複雑な症例を多く拝見しています。わざわざ遠方から足を運んでくださる方も少なくなく、長いもので半日ですとか、その方だけにかかりっきりで治療をおこなうことも珍しいことではないのです。こちらは、駅からそれほど距離はないものの、閑静な住宅街に位置しています。その方々に集中して治療をおこなうために、今の環境が必要だったということになるのです。
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